1990年代の大学教員人事(2)

1990年代後半になると、学位無しでは職に就けない時代に移行し、採用される助教は当たり前のように学位をもっていた。前半なら採用されて間もなく昇進できただろう。情報系での助教は3名、いずれも学位を持っていなかった。電気系でも同様だった。このような状況では、学位を取得すれば速やかに昇進でる。学位が取れない理由は、研究実績のないM2を採用した挙句に研究指導もしないので、研究が出来るようにならないからだ。指導以前に教授自身が研究できない事例もある。若い助教達は研究基盤も出来上がっているため成果も上がり、学位のない助教をどんどん追い越して昇進していった。私は元の専門だった数学で結果を出して母校で学位だけはもらったが、工学系としての研究成果は全く上がらず、追い越されていくのは同じだった。本学にも設置された博士課程で論文博士を取れば良さそうなものだが、学位のない助教は研究活動を通じて他大学に伝手を作り学位を取った。上司が研究指導をしていない一端が伺われる。