大学教員の職階

助教授という職階を聞いたことがあるだろう。トリックの上田先生も初登場時は日本科技大の助教授だった。ある時期から助教授は准教授と呼ばれるようになった。一般の方には馴染みのない大学の職階について語ってみる。

職階名称に変更があったのは 2007年だった。国立大教員は教育職(一)の俸給表が適用される。私の怪しい記憶では、旧職階と現職階の対応は次のとおりである。

旧職階現職階
5教授教授
4助教授准教授
3講師講師
2助手助教
1教務職員助手

実際には俸給表は6級まであって、どうやら学部長が6級に対応していたらしい。学部長が平の教授に戻った時は5級に格下げなのだろうか。助教授が准教授に、助手が助教に変更になったというのが実質的な変更だった。旧職階の教務職員というのは聞きなれないだろう。しかも助手に変更になってしまったので、旧名称と紛らわしくなってしまった。とは言っても、今やほとんど実在しない職だろうから、特に問題なさそうだ。今後は新しい名称で統一していくことにしよう。助手は俸給表に含まれているにも関わらず、扱いは助教以上と大きく異なる。助手と助教の違いを順次上げていこう。

  • 待遇は大学によって異なるかもしれないが、どの国立大学でも同じと思われるのは定年である。助教以上の定年は65歳であるのに対して、助手は事務職と同じ60歳である。
  • 助教は裁量労働制であるのに対して、助手は事務職と同じ業務管理形態となっていた。
  • 助手は演習、実習の補助しかできない。助教は講義、演習、実習を主担当できる。私が着任した時期には、助教は演習、実習のみ担当できるが、形式上は単独では担当できず、講師以上と連名で補助という扱いだった。実質的には助教のみで取り仕切っていた。その後、助教の職務制限は緩和されていき、講義が担当できるだけでなく、業績によっては博士号の審査まで可能になった。
  • 研究は助教の職務であるが、助手の職務には含まれない。助手が単独で研究発表に行くことなども制限を受けそうである。

助手と似たようなポジションに技官がある。専門技術をもった事務員という位置づけに見えたが、私には助手と職務上の区別がつかなかった。助手や技官にはほとんど昇進がない。年をとっても教員のお手伝いが仕事である。特に演習、実験は助教が担当することが多く、遥かに年下の指示に従うことになり、辛いものがありそうである。そのようなことは世の中に多数あって、ベテラン看護師が若い医師に偉そうに命令されるようなものであろう。実際には経験の乏しい医師がベテラン看護師に叱られることもあるらしい。私の場合もド素人のまま情報系の助教になったので、一部の技官からは見下されていた。

助教からの昇進は講師を飛ばして准教授に二階級特進するのが普通である。講師と准教授の職務はほとんど変わらないが給料は違う。一時期、講師を廃止する動きがあって、ほとんどの講師が准教授に昇進したことがあった。講師はどのような場合に適用されていたかと言うと、外部から採用するときに能力を見極めるまで准教授にするのを保留しておく意味合いが強かった。目的からすれば、一定の業績があればすぐに准教授にされるはずである。実際には、単なるいじめで昇進を拒む事例はそれなりにあった。

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