授業報告会という授業の内容を全教員に知ってもらう制度があった。データベース演習は新設であり、開始直前での報告となった。響教授の指示通り、内容は SQL だけである。「標準的な内容ではあるが…」と内容の薄さに物足りないという反応であった。ある教員が「Webからの呼び出しをやるべきだ。」と言い出した。「それはデータベースでやるべきことではないだろう」「時代は動いているんだ」「それが必要ならWebプログラミング演習を新設すべきだ」というやり取りがあったが、最終的には要求を受け入れた。CGIプログラミングを学ぶ科目が他に無いので、演習内で行わなければならない。それは本来の目的からすれば、かなり大きなオーバーヘッドとなる。当時はまだ主流言語が固まっておらず、Perl, Ruby, PHP, C など多くの選択肢があり、PHPを採用したが選択には悩まされた。さらに組み込みSQLやPostgreSQLのライブラリを使った呼び出しなどを導入した。効果は疑問だったが、他教員が満足する体裁は整った。しかし、何が不愉快かというと、授業を新設するにあたって、何をするのか全く決めずに行き当たりばったりだということだ。カリキュラムを決める教授陣にITの知識が乏しかったのが原因だろう。
翌年、響教授担当の講義も報告があった。教務主任からデータベースの設計を実践して欲しいと要望があった。「そのためには実際の現場からデータベースを持って来なければならない。そんなことは困難だ。」と響教授は反発した。私はDBスペシャリストの勉強をしていたので、「情報処理技術者試験に設計の題材がありますよ」と意見した。「そんなのは単なる受験勉強だ」「実際に見てみれば分かりますよ」「時間が無い」とやり取りがあり、響教授は泥臭いことはしたくないだけのようだった。しかし、これこそ講義ではなく演習に求めることではなかっただろうか。